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東京アーバンパーマカルチャー(TUP)の世界へようこそ!

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東京からサステナブル(持続可能な/共生的)社会を育むための実験と実践を行っています。
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Thursday, April 18, 2019

【記事】フランスのカップルが日本で見つけた、持続可能な農と食と地域の未来像



この前のフランス大使館に依頼されたイベント
「セ・ポシブル できるの上映会」が
朝日新聞の記事になっていた。
 (僕が上映会の後に書いた記事はここ


因にソーヤとよく間違えられるけど、ソーヤーです


朝日新聞DIALOG(写真つきは左のリンクで)より


「まるで、ポケモン探しのような旅だった」
フランスのカップルが日本で見つけた、持続可能な農と食と地域の未来像



「WWOOF(ウーフ)」という言葉を知っていますか? 「World Wide Opportunities on Organic Farms」の略で、主に有機農業を営むホストと、そこで働きながら農業や暮らし方を学びたいと思う人をつなぐ活動です。1970年代にイギリスで始まり、オーストラリアやニュージーランドで発展。現在は日本を含め、世界60カ国以上に事務局があるとも言われています。2016年、フランス人の若いカップルがウーフを目的に来日。8カ月かけて全国をめぐって撮影したドキュメンタリー映画『できる セ・ポシブル』が4月3日、フランス大使館主催のイベントとして、東京都新宿区のアンスティチュ・フランセ東京で上映されました。

映画を制作したのは、パリに住む共に30代のジョナサン・カレンさんと、パートナーのマチルド・ジュリアンさん。ジョナサンさんはパリで日本のイラストを販売する会社に勤め、来日経験もあり、日本語が堪能です。事実婚のパートナー、マチルドさんは言語障害治療士として働いていましたが、ある時、「2人とも生活を変え、人生を見つめ直したくなった」(ジョナサンさん)といいます。もともと、環境問題に関心のあった2人は、友人から、日本でのウーフ体験を聞いて興味を持ちました。「東日本大震災後、日本人のライフスタイルや価値観が大きく変わったと聞きました。主に地方都市で広がっている、新しい暮らし方の実践をぜひ見てみたいと思ったんです」(ジョナサンさん)。マチルドさんにとっては、初めての日本でした。パリを発ったのは2016年秋。最初の訪問先は沖縄でした。「その時は、3500kmをヒッチハイクで移動し、総距離5800kmの長旅になるなんて、想像もしていませんでした」とマチルダさんは笑いました。

2人の訪問、取材、滞在先は、あらかじめすべて計画されていたわけではありません。「滞在先で、『あの街に行ったら、こんな面白い知り合いがいるよ』と紹介され、そこに行くと、また新しい人を紹介される。まるで、ポケモン探しのような旅でした」(マチルダさん)。移動はほぼすべてヒッチハイク。北九州市の禅寺。熊本県宇城市の、土囊(どのう)でつくられた家が立ち並ぶ「三角エコビレッジ サイハテ」。合併により、現在は神奈川県相模原市の一部となった旧藤野町で、電力自給ワークショップや地域通貨など様々な取り組みをしている「トランジション藤野」。浜松市の耕作放棄地に、「食べられる森の菜園」をコンセプトにフォレストガーデンをつくっている「トランジションタウン浜松」。東京で開かれた、環境問題を考えるイベント「アースデイ東京」。奈良県南部の、過疎と高齢化が進む下北山村での茶摘み。鹿児島県姶良市(あいらし)にある、子どもたちが自ら学びたいことを選び、探究するオルタナティブスクール「楠学園」。「2020年までにごみの排出量をゼロにする」という目標を掲げ、すでにごみのリサイクル率80%を達成している徳島県上勝町。

各地で出会った人々の言葉から、2人は様々なインスピレーションを得たといいます。「奪い合いから、分かち合いへ」「一人ひとりの『得意なこと』や『できること』を知るきっかけさえあれば、自然と、頼り、頼られる関係ができていく」「社会の大きな問題を、小さいところから変えていくことが大事だと思う」「人と人。人とモノ。すべての関係性が切れていることが、いまの社会の諸悪の根源。地球がシェアハウスだと思えば、もっとみんな優しくなれるはず」

こうした言葉の数々を、2人はパズルのようにつなげて、映画を制作しました。「最初は一つひとつの取り組みを紹介するビデオを作っていたのですが、多くの方にお話を伺うなかで、持続可能な社会の全体像を伝えられるような映画にしたいと思い直したんです」とマチルドさん。撮影や編集は初体験で、編集には3カ月を要したそうです。


上映会の後は、ジョナサンさん、マチルドさんに加え、映画に登場した「東京アーバンパーマカルチャー」創立者のソーヤ海(かい)さん、「パーマカルチャーデザインラボ」共同代表の大村淳さん、フランスで「共生経済」をテーマに研究するイザベル・ドラノワさんがパネルディスカッションをしました。

パーマカルチャーとは、1970年代半ばに、オーストラリアの南にあるタスマニア島で生まれた概念です「Permanent(永久の)」と「Agriculture (農業)」を合わせた造語で、環境や生態系を破壊することなく、自然の恵みによって人間の必要性を満たす、様々な技術を指すと言われています。ソーヤさんはそれを「人と自然が互いを生かし合う関係性をデザインすること」と説明しました。例えば、畑にある作物を植える場合に、その近くに虫が嫌う香りを放つ別の植物を植えることで、農薬や殺虫剤を使わずに育てることなども含まれます。

進行役を務めた毎日新聞編集委員の元村有希子さんが、「環境やサステナビリティーについて話していると、『環境問題は、テクノロジーの進化で解決できる』という意見が出ることがあるのですが、みなさんはどう思いますか?」と質問。大村さんは、「いまある課題にテクノロジーが何らかの対処ができたとしても、その課題をより複雑にするだけの可能性もある。そもそも、なぜその課題が生じたのか。背景にある要因の関係性を読み解く思考が大事では」と答えました。イザベルさんも「より早く、強く、というのではない方向に、どうテクノロジーを生かしていくかを考えなくてはならない」と続けました。ソーヤさんは「そもそも、テクノロジー=ハイテクだけでしょうか。家造りも料理も水泳も、『技術』という点ではテクノロジー。『気候変動』や『エネルギー問題』といった大きな主語で語り始めると、『お金のかかるテクノロジーで解決すべきだ』となり、『未来のテクノロジーが解決してくれるから大丈夫だ』と思考停止に陥ってしまうんです。まずはいま、自分の足元から何ができるかを考えることが大事だと思う」と語りました。

ジョナサンさんとマチルダさんは、「この映画を今後も、日仏の多くの人に見てもらいたい」と話しており、配給に関心のある企業や団体を探しています。2人はもうすぐ帰国しますが、日本での取材で出会った人々を中心に、今後も自主上映会などが計画されており、東京では4月18日(木)に文京区の書店「plateau books」で開催される予定だそうです。詳しくはこのリンク(FB)をご覧ください。