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Thursday, June 4, 2015

ギフトの世界への冒険の旅 by 鈴木えり

共生革命家仲間の鈴木えりちゃんのブログ。
今回のツアーは彼女と企画。


ギフトエコロジーという世界に向けてプロジェクトを始めて数ヶ月。なかなかチャレンジ満載で学びがいっぱいの毎日だったな。気づいていなかった自分のニーズをたくさん認識できたし、自分のお金との関係もより明確になった。ギフトエコロジーって一体なんぞやっていう部分も、以前よりずっと理解が深まった気がする。もっといろんな人にこの経験を共有したいな、と思いつつ、言葉にするのにだいぶ時間がかかってしまった。でもまぁ、ずっとやらないよりは遅くなってもやった方がいいなと思って、書き溜めてた。
カルマキッチンでの経験のあと、ギフトエコロジーにとって重要な要素が何なのか、ずっと考えてた。
自分の中ですごく腑に落ちて、なるほど、と思ったのは ”giving for free and giving freely タダで与えることと自分の意思で貢献すること”の違い。
(英語での説明をしているサイトはこちら →http://www.awakin.org/read/view.php?tid=1031
 先住民であり、植物学者であり作家でもある、ロビン キマラー( Robin Wall Kimmerer )さんが書いた Braiding Sweetgrassという本に以下の一節がある。
“From the viewpoint of a private property economy, the “gift” is deemed to be “free” because we obtain it free of charge at no cost. But in the gift economy, gifts are not free. The essence of the gift is that it creates a set of relationships. The currency of a gift economy is, at its root, reciprocity.” 
訳:所有経済の観点から見るとギフトとは無料のものと受け取られる。というのはそれをお金を払わずに手に入れることができるからだ。しかしギフト経済においてギフトはタダではない。ギフトの重要な要素はそれが関係性によって成り立っているということだ。ギフト経済における”通貨”にはその根元に与え合いの関係性が存在する。
 このギフトに対する考え方のシフト(ギフトと無料のものとは違う)は、このプロジェクトの私自身の関わり方に対する見方も変化させてくれた。これがこれまでのボランティアの活動(タダでする仕事)ではなくて、自分が意識的に新しい価値やコミュニティー、資本や関係性を自分自身と世界に対して築く活動なんだと思うことができた。 
ギフトエコロジーにおいてもう一つ重要な要素は、交換の裏になる意識の変化。ギフトエコロジーを実践するには既存の貨幣経済から自分を隔離する必要はないということ。ただ交換の際、取引の意識から信頼の意識への変化や不足の感覚から豊かさの感覚への変化が重要なんだよね。 それがあるだけで、交換という行為が全く違う意味を持つ。
 こういったギフトエコロジーについての学びに加えて、自分自身の成長の機会も盛りだくさん。困惑したり、不安になったり、何かもやもやする時に一番学びが大きかった。そういう時は常に気づいていなかった自分のニーズを意識することができた。自分にとって、人から認めてもらうこと、自分自身を受け入れること、ケアされること、信頼すること、仲間がいることが大事なんだって気がついた。
 最初のチャレンジは日本でプロジェクトを手伝いたいという人が現れたとき。これまでは海くんと二人でコーディネートしてきたから、仲間が増えて喜ぶべきところ、私の最初のリアクションは困惑と不安だった。いきなり知らない人がやってきてこのプロジェクトが海くんと私のものだったのが、3人のものになって、これまで私が乗り越えてきたチェレンジや努力が私のものとしてちゃんと認識されないような気がして。自分のエゴや競争心が出てきたのに驚いた。
 でもそれがそもそも彼女のことをよく知らなかったからだし、彼女との間に信頼関係が生まれていなかったからだということに気がづいた。そのあと早速スカイプで話した。やっぱり顔を見て話すと全然ちがうね。 彼女の人柄や思いを共有して、私の中に彼女への信頼の気持ちが生まれたあとは、話相手が増えて悩みを相談できる相手も増えていいことだらけ。
 2つ目の大きなチャレンジは、いざレンタカーの予約に自分のクレジットカードで支払いをすることになった時。 予約して自分のクレジットカードに$1000チャージする段階になったらなんかできない⁈ ギフトにするって決めた時点でなんとかなるって思ったし、自分が払うことになってもいいって思てたはずなんだけど、自分のカードにチャージする行為までたどり着けない。なんかこのお金を失うことになるのかもとか思っちゃった。ギフトエコロジーとか口では言ってるのに、実際自分のお金になったら 失うかもとか、思ったことがショック。まだ不足の意識から抜け出せてないこととか、自分のお金に対する執着があることを感じたことがショック。
 お金が払えない理由のもう一つに、このツアーに対する自分の見方も影響してることに気づいた。自分自身と周りに対してこのツアーが私のストーリーであることをちゃんと認識してほしいと感じているのかなって思った。それまではこのプロジェクトを常に私は海くんのプロジェクトを手伝ってるっていう感覚が強くて、これが自分のストーリーなんだって自信もって言ってなかった。だから自分のお金を投資する先に自分のストーリーとして何が残るのかなって思っちゃった。
 海くんにその話をしたら、彼が私の満たされていないニーズとして、信頼と仲間があるのかな、って言ってくれて、それを聞いて自分がコミュニティーのサポートを欲していることに気がついた。海くんは既に日本でギフト経済の理念でワークショップをしたりして生活してる中でサポートしてくれるコミュニティーやネットワークを作ってきてるし、ギフトの中でも生きていけるっていうことを感覚として知ってる。そして、このプロジェクトをすることによって、より多くの人がそのストーリーにインスパイアされてサポートに集まってきていた(実際私もその一人だし)。だから彼は既にギフトの世界に対する信頼と安心感を経験の中から得てきてるのかなって思った。
これはよくPanchoとSamと話してても感じたこと。彼らはベイエリアでギフトエコロジーの中で生活していて、なんか悟っているというか、彼らの周りのギフトの関係性からなる生態系に支えられて、生きていけるという信頼と安心と自信を感じる。彼らが経験から培ってきたものだと思うけど、その中からすごく現実味のある豊かさの感覚に根ざした愛情の深さと強さを感じる。
 私にとってはこのギフトの世界はまだまだ未知の世界で、本当になんとかなるのか安心感と信頼が確立しきれてなかった。それにこれまでのストーリーは海くんのソーシャルキャピタル(社会関係資本)をより豊かにしていたけど、私にはそれが育っていないような気がしてた。だから自分のマニーキャピタル(金融資本)を投資する時にそれがどうなるのかに対する不安と抵抗があったんだと思う。
 でもよくよく考えて、その不安を友達と話していたら、既にこのプロジェクトを始めてから自分の周りにもすごくたくさんの社会資本が集まってきていたことに気がついた。これまでこのプロジェクトを誰かに話すたび、彼らはとっても熱心に聞いてくれて、すごいね!って一緒にワクワクしてくれて、何か自分にもできることはないって聞いてくれて。それが自分にとってもインスピレーションになってたし、このプロジェクトの意義を再認識させてくれてた。これまで友達からすごく勇気付けられたし、実際食事や宿を提供してくれたり、いろんな形で手伝いをオファーしてくれた友達もいた。それを感じた自分の金融資本を投資することに抵抗を感じなくなった。形は変われど、自分を支えてくれる資本は巡ってくると思えたから。
 なんだかんだいって、実際想像しなかったような形で物事がうまく進んでる。支え合いと信頼関係に基づいた生態系を作っていくための土壌が育ってきているのを感じる。もし誰もが自分の持っているものをできる形で貢献しあったら、この世界は豊かさで溢れていくと思うな。
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